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自社農園だより:スズメバチ退治で生態系が変わった!

梅の収穫、そしてシロップ作りも終わり、一息つける梅雨の終わり。今年の梅の様子を、備忘録もかねて振り返りたいと思います。虫の写真が沢山ですので、嫌いな方はどうぞご注意ください。

 

 東京農大グリーンアカデミー(以下GA)の2年目、念願の果樹コースに進みました。かなり人気のあるコースで、競争率も高かったので、本当に良かったです。さて果樹コースの圃場(ほじょう:専用地)に行って、先生の講義を聞きながら、ふと目に入ったのがハチ取りの仕掛けで、スズメバチが数匹かかっていました。


そう言えば自社農園にも、数ヶ所スズメバチが巣食っている場所があり、私も数年前にまぶたの上を刺されたことを思い出しました。それを境に、スズメバチの活動が旺盛な夏から秋にかけては、農園の特定の場所に入れない年が続いていました。一気に草が伸びる時期、またたく間にツル草が梅を覆ってしまい、陰鬱とした状況から、病害虫が発生したり、葉や樹皮による光合成が満足にできなくなっていました。


早速Amazonで「スズメバチ退治」と調べると、GAの圃場で見た捕獲装置が売っていました。

結構な値段ですが、ものは試しと農場に10箇所設置し、1週間後に見た写真が以下となります。

立錐の余地もなく、好物の液体に頭を突っ込んだまま逝ったスズメバチ。その数ざっと40匹。仕掛けた罠が10箇所、全てがパンパンですから、概ね400匹のスズメバチ退治に成功しました。やった!というよりは、身の毛もよだつと言ったほうが適切で、こんなに居たのかと唖然とした次第です。


以前NHKで特集していたハチの生態を思い出しました。冬の寒さと飢えを凌ぎ、春の草花からの恵みで体力を養いながら越冬したハチは、ある日女王蜂に昇華します。それからは猛烈なスピードで子孫を増やす訳ですが、私が罠を仕掛けたのは、ちょうど4月の中旬。まさに女王蜂に変わる直前だったようです。


一番栄養が必要なタイミングに、この仕掛けが大成功した訳です。農園には、ミツバチの越冬に来ている養蜂家さんがいるので話を聞いたところ、スズメバチが好きな液体とミツバチのそれは違うそうなので、全く問題なく、どうりでスズメバチしか入っていないのだと、合点がいきました。とにかく大成功だったのです!


ちょうど同じころ、梅の木を見ると、お馴染みの毛虫の子供がしっかり居たので、今年も毛虫との格闘は続くなぁと覚悟を決めたGW前でした。


 

そしてGW明け、いよいよ梅の収穫が始まりました。

今年は近年稀に見る大豊作&とてもキレイな梅となりました。梅も桜も早かったせいもあり、これでも十分に大きくなるまで待って収穫しましたが、梅雨入り前に収穫できたことが大きかったようです。


本来、梅の収穫時期はどうしても湿度が高くなり、その影響で梅の肌に黒っぽいポツポツ模様が出ます。これを黒星病といって、カビの一種によるものです。人体には一切無害なのですが、見た目が悪く?なるので、巷で販売している梅は、ほぼ確実に事前消毒(農薬散布)をしています。


自社農園は完全無農薬ですので、黒星病を防ぐように、枝葉の整理を行い、通気性を向上させてはいますが、正直防ぎようがない、いわば無農薬の証といえるものですが、今年は湿度が上がる前に収穫できたので、本当にキレイな梅が多かったことが特徴といえます。そして収穫の際、全くと言って良いほど、毛虫がいませんでした。4月中旬には写真の通り結構いましたので、覚悟していたのですが、本当に驚きの年となりました。

夜明けの梅

黒星病の出た梅:南高梅など収穫の遅い梅は、湿度の高い状況になりやすく、黒星が出やすくなりますが、全くの無害です。

 

梅を収穫し、車で東京へ運ぶ訳ですが、この1ヶ月ほどは、車は野生の王国です(笑)。様々な虫も一緒にご搭乗ですので、色々な所を咬まれたり、足に触れたりでゾッとするのですが、今年笑えたのが、クモでした。フロントガラスの脇から、ハンドルを握る腕の横にスーっと降りてきます。まだ子供なのか、白っぽいクモを沢山みました。


よくよく考えると、ここまでクモを実感する年がなかったような。クモが増えるということは、クモの天敵が少なくなったのかなぁと、軽い気持ちで調べてみると、なななんと「クモの天敵はハチである!」と出てくるではありませんか!クモが増えたことは、あのスズメバチ退治と連動していたのです。


興奮して「クモの好物」と調べると、虫と出てきます。。。あ!これ毛虫じゃん!

実は、いつもウヨウヨいた毛虫が、全く見えなくなったなぁと思っていました。どこか葉っぱの裏にでも隠れているのかなぁと思っていましたが、なんとクモが毛虫を!!!あの時の毛虫が、今年の最後だなんて!


そう言えばGAの講義で、クモは益虫と教わりました。人間本位な考えではあるのですが、人の暮らしに役立つ虫には、てんとう虫、カマキリ、そしてクモが。そうして農園を見渡すと、彼らがバッチリ目につくのです。


 

4月中旬にスズメバチを退治したことにより、クモが増え、毛虫が消え、益虫のてんとう虫やカマキリが増える。自社農園の生態系は一変し、常態化していたスズメバチを、今年は一度も見ていません。。

まさに、なんということでしょう!


これで今年は夏も秋も、しっかり梅の手入れと草刈りができます。気合を入れて、手入れを行い、来年に備えたいと思います。まずは今年の最高にウマイ梅ジュースを、SUNNY LOTでしっかり販売したいと思いますので、どうぞお楽しみください(笑)。


以上、今年の梅のお話でした。





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